北欧スウェーデンの暮らし

1丁目 Y・K

2012年夏から2015年春までの2年半、仕事の都合で北欧のスウェーデンで生活をしました。

スウェーデン?

 スウェーデン王国の人口は約1千万人で東京23区の人口とほぼ同じくらい。その人口が、日本よりも広い国土に暮らしていますので、 人口密度は世界的にも低い方に位置付けられます。
国土の半分以上が手つかずの森林や湖沼で占められています。首都はストックホルム、年末が近づくとノーベル賞の受賞式で話題になり ますね。
 私たち家族の暮らしはスウェーデン第2の都市、イェーテボリという北海に面した町でした。
 北緯57度付近に位置するこの町は、北海道の宗谷岬?北緯45度付近?より遥か北です。
昼の長さが夏は18時間、冬は7時間弱と大きな違いがあります。秋から冬にかけては曇りや雨、雪の日々が多いため、たまに顔を覗かせる 太陽をとても大切にしています。

生活・文化

 公用語はスウェーデン語、でも、多くの人は英語が堪能です。買い物する際はこちらが英語を話せば、すぐに英語に切り替えてくれます。
覚えたてのスウェーデン語を試そうと、ハンバーガーショップでスウェーデン語で注文をしてみました。?よし、うまく言えた!?と思ったら、 店員さんの返答は英語、私がスウェーデン語を話し、それに店員さんが英語で返すという不思議なシーンとなりました。 以降、スウェーデン語は封印しましたが・・・。
 スウェーデンと聞いて、高い国民の幸福度を思い浮かべる方もいるかもしれません。
社会保障制度により子供や高齢者の福祉は基本無料。子供の学校も大学まですべて無料。うちの子供も、定期的に病院に行き検診や治療、 投薬を要しましたが、すべて無料でした。
スウェーデン国民は日本人のように将来に備えて蓄えておく必要がなく、稼いだお金は使ってしまっても心配ないのです?羨ましいけど、ち ょっと言いすぎかな?。
 ではこのような福祉のための原資はどこからか?スウェーデンの消費税はなんと25%!食料品など、生活必需品は12・5%となり、 日本より遥かに高く。それでも?幸福な国?と思っている国民が多く、この制度はうまく回っているのでしょう。
 食文化では代表料理としてよく紹介されるのは「ミートボール」。日本のものとは違い、クリームソースとリンゴンベリーというコケモモの ジャムをつけて食べる珍しい料理です。
興味のある方はスウェーデン家具のお店 IKEAのレストランで日本でも食べることができますのでぜひどうぞ。
 私が現地で一番困った質問は?スウェーデンの料理で一番好きなものは??という質問。?私が食に対して疎いことが原因なのですが?私が決まっ て答えたのが?ピースープ?豆とベーコンを煮込んで作る伝統的なスープで、このスープにマスタードをたっぷりと入れ、パンケーキに先ほど紹 介したリンゴンベリーのジャムをつけて一緒に食べるのが定番です。
これが会社の食堂でも必ず木曜日に出されます。なぜ毎週木曜日に?日本の海上自衛隊カレーの話を知っているでしょうか。
長く海の上を航海する隊員さんたちが曜日の感覚を無くさないように毎週金曜日にカレーを食べるという。これと同じ目的で、 毎週木曜日に食べられているのが?ピースープ?なのです。
スウェーデンのワークライフバランスは日本と比べると、大きく違うと思うのは私だけではないと思います。
近年のスウェーデンでは、結婚していても専業主婦という奥さんは少なく、共稼ぎのご家庭が多いようです。
育児休職はお母さんだけでなくお父さんでも取ることができます。
小さなお子さんを持つ家庭では、お父さんも家事や保育園への送り迎えなどを分担します。
私が勤めていた会社でも、夕方4時ころになると『子供のお迎えがあるので帰ります』と、帰宅する人も珍しくありませんでした。
さてこれを読んでくれているお父さん、お母さんは週に、いや、月に何回ご家族と夕食を共にできるでしょうか? 私が現地で仕事をしていたころは、ほぼ毎日、自宅で家族と夕食を共にできました。
スウェーデンでは、当たり前のことですが、日本ではなかなか難しいですよね。ちなみに私が帰国した際、このようなワークライフバランスを 維持しようと心に誓いましたが、1週間であっさりと日本のそれに馴染んでしまいました。
もう一つ、忘れてはならないもの、それがFIKA(フィーカ)、いわゆる『お茶の時間』です。一般的には午前10時と午後3 時にそれぞれ 30分くらい、コーヒーと焼き菓子やシナモンロールを友人たちと共にするのです。
これはスウェーデンの伝統的な文化のひとつで、私の会社でも実施されていました。
部署ごとに大体実施される曜日と時間が決まっており、その時間に会議を入れても、『フィーカがあるので出席できません』という回答がしばしば、 日本でいう『飲みニケーション』に近いのかもしれません。
このフィーカの時には仕事の話はせず、週末の予定や自宅のDIY(日曜大工) など、様々なプライベートの話をします。 貴重なコミュニケーションの場なのです。
余暇の過ごし方
大きく分けて4月から8月のサマーシーズンと9月から3月までのウィンターシーズンに分けられると思います。
サマーシーズンは天気も比較的良く、また、国の祭日も多いため、この期間に旅行やキャンプ、サマーハウスと呼ばれる別荘などで過ごす人が多いようです。 一方、9月以降になると天気の悪い日が多くなります。1か月間、一度も太陽にお目にかかれないことも珍しくありません。 たまに太陽が顔を出すと日光浴をする人が多くいらっしゃいます。
私が初めてこの風景を見たとき、プレーリードッグを連想してしまいました。
老夫婦や友人同士が太陽に向かってジッと立っている姿がプレーリードックのかわいらしさと重なったのです。
年末からはウィンタースポーツ、スキーやスケートです。街のいたるところにスケートリンクがあり、気軽に楽しむことができます。
スキーも盛んですが、スウェーデンには高い山が無いのです。千㎞ 以上の距離を北上していけば大規模なスキー場がありますが、手軽に行くこと はできません。
多くの人たちが楽しんでいるのがクロスカントリースキーで人気を呼んでいます。町はずれに専用のスキーエリアがあり、手軽にできます。
スポーツ用品店では一般的なスキー道具よりもクロスカントリースキーの方が多くのスペースを占めているほどの人気です。
私も興味はあったのですが、『楽しい』よりも『辛い』方が強く、チャレンジせずに帰国となりました。
スウェーデンでの暮らしについて記してきましたが、如何だったでしょうか?日本で生活し、常識だと思っていたことが、外に出てみたら考え 直させられることもしばしばでした。
これを読んで下さった方々が、少しでもスウェーデンに興味を持ってくれれば幸いです。

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