第二のふるさと札幌

 結婚後、主人の転勤で札幌に行くことになりました。初めての北海道へ海を渡った私には、ビルが立ち並ぶ大きな街並みに驚きました。済み渡る空気と札幌大通り公園の美しいライラックの花が今でも目に浮かびます。
子供二人も育ち、時間に余裕が持てる様になったので、ペン習字教室に入りました。一日二十分でも毎日練習すると少しずつ上達との教えでしたが、上達ならずこの不甲斐なさ・・。まだ若かったので家族でドライブを楽しんだのもこの頃で、毎週土曜日になると、洞爺湖や小樽の祝津マリーナ等に出掛け、春は新緑、秋は紅葉の錦絵など心弾ませた行き帰りはいい思い出になっています。
しかし、十月二十日を過ぎると初雪が舞い、長い厳冬が待っています。木や花には冬囲いをして、春の訪れを待ちます。外の寒さは厳しいけれど、家の中はペチカが暖かく守ってくれます。
間もなく春五月、彩り目を奪う季節へ、時計台の鐘と初夏のそよ風に香るアカシヤ並木。北原白秋でなくても、札幌は詩情とロマン溢れる風土そのものです。
(森岡紀子)

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