友蔵・心の俳句  まる子との会話つき

1 友 まる子、年金入ったから寿司でも食べに行こうか。
    なんでも好きなもの頼んでいいよ。
  ま 寿司屋のカウンターで 「ウニ・イクラ・・・」
    (だんだん財布の中味が心配になった友蔵)
    「ウニなんか わしも食べたい だけどシメサバ」

2 ま おじいちゃん、算数のテスト30点だったよ。まる子悲しい。
  友 いいよいいよ、気にするな、また今度かんばればいいんだから
    「明日こそ 何かいいこと あるだろう」

3 友 何か甘いものでも食べたいな(冷蔵庫を開ける)
    ん?おはぎがあったぞ。いただくか。
  ま あっ。おじいちゃんずるい。ごはん食べたばっかりなのにぜいたくしてる。
    「こっそりと ぜいたくしたら 孫にバレ」

4 ま おじいちゃんはどうして働かないの?
  友 おじいちゃんは若い時一杯働いたから今は年金がもらえるんじゃ。
    「無職でも バカにされない いい時代」

5 ま おじいちゃん、このゲームおもしろいよ。おじいちゃんもやってみたら。
  友 どれどれ、わしにもできるかな。  
    「意味のない ことをするのも 人生だ」

6 ま おじいちゃん、老人会でも合コンがあるの?
  友 合コンじゃないが、懇親会ならあるよ。
    「好奇心 これが長生きの 秘訣です」

7 ま 友達にいじめられた。ワーン。
  友 泣くなまる子。まる子にはおじいちゃんがついている。 
    「時にはワケを 聞かないことも 優しさじゃ」

8 ま おじいちゃん、勉強のノート買うからお小遣いちょうだい。
  友 よしよし、まる子はいい子だな。
    「だまされる 老いぼれじじい ここにあり」

9 友 今日は老人会の旅行だ。まる子お土産何がいい?
  ま お土産なんていらないよ。またヘンな物、買ってこないでね。
    「みやげすら 期待されない じじいです」

10 友 きょうはいい天気だ。俳句でも作ってみようか。
    うーん。いい句がなかなか思いつかない。
    あっ、できたぞ
    「俳句さえ 思い浮かばぬ 我こころ」

11 ま おじいちゃん、それ誰の写真?
  友 これはおばあちゃんが若い頃の写真だよ。
    「若き日の 君を思えば 照れる我あり」

12 ま 6月のある日、日記を書く
  友 まる子、つゆの漢字を教えようか。梅の雨と書いてつゆと読むんじゃ。
  ま じゃ「あじさいは」
  友 うーん。
    「アジサイの 漢字は一体 どう書くの」 

     吉井 健 (会話の部分)

コメント

タイトルとURLをコピーしました