いつも素敵な川柳で会員を楽しませてくれる川柳クラブの「りょう太」さんが人生川柳をつくってくれました。
① ふるさとの 匂いが過去を 呼び起こす りょう太
ふるさとの友人宅を訪ねた際に、窓から一陣の風が入ってきました。それだけで一気に幼い自分に引き戻されたのです。暑い夏の午後。周りは桑畑。土の香りも一緒で一瞬に昔の自分に戻されました。匂いは記憶と密接に絡んでいるようです。
② 父を超え 夜空の星に 祈る我 りょう太
気づけば父の年齢を超えていました。生き抜く力の弱い父ではありましたが、やさしさは人一倍。いつも笑顔で子供たちを見守ってくれました。決して幸福な人生だったとは思えませんが、ときに夜空を仰いであの世での幸せを祈っている自分がいます。
③ おばあちゃん お花畑で いい笑顔 りょう太
百三歳で往生したおばあちゃん。花が大好きで庭にはいつも花がいっぱい。おじいちゃんが商売をやっており、いつもお客さんが引きも切らず。お茶菓子と笑顔でもてなす明治生まれのおばあちゃんが大好きでした。
④ ジム通い 明日の自分に むちを打つ りょう太
六十歳を過ぎたころから筋肉の衰えを感じるようになりました。加えて心筋梗塞で入院する羽目になり、三十代に一時通っていたジムに行くことに。もうすぐ通って十年になりますが、なんといっても健康でなければ前に進めません。
⑤ 自由の身 カバン一つで 何処へ行く りょう太
四十数年勤務のサラリーマン人生。もともと自由業のような仕事ではありましたが、やはり退職した時の開放感は格別でした。「何処へ行く」、というのは、身軽でどこへでも自由に行けるという心情と、将来をどうするか、という心境を歌ったものです。
⑥ 衣替え 背筋伸ばして 身も軽く りょう太
かつては六月が衣替えの季節。高校生のセーラー服が一斉に真っ白になり世の中が明るくなったようでした。社会人にとっても、やはり服装は心の持ちように直結しています。歳を重ねればなおさらでしょう。これからも心していきたいものです。
3丁目 松沢 良治
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