少年になる時

 63才で定年後、以前から興味があった「男声合唱コールダランツ」の門を叩いた。合唱は小学校・中学校の音楽の時間に歌った程度であり、果たして皆に着いて行けるのかとても不安であった。男声合唱は、トップテナー、セカンドテナー、バリトン、ベースと4パートで構成され、常に4つの音で和音を作る。練習1日目、体に電流が走った。ユニゾンから突然4パートに分かれ、男声合唱独特の柔らかく、重厚で迫力のあるハーモニーに初日からノックアウトされてしまったのである。

 合唱を始めて4年目の今年は「全日本男声合唱フェスティバル」出場の為、小樽へ行った。殆どの人が初対面であったが、一度合唱が始まるとホール全体巨大な楽器と化した。男声合唱のメンバーは皆、歌っているうちに本当の「オレ」になっていくように見える。日頃のいろいろな殻が徐々に取れてきて段々と自分らしく「少年」になっていく。その上に少々のお酒が入ると肩を組んで歌い、たちまち10年来の友達になってしまう。そんな至福の時間を過ごした小樽演奏旅行であった。

 もし叶うものなら、サントリーホールで歌ってみたい。黒い蝶ネクタイと白いタキシードに身を包み、AKB48の”365日の紙飛行機”を振付入りで歌ってみたい。もうひとつ、男声合唱仲間の爺ちやん達とNHXのど自慢番組に出場して合格の鐘を鳴らしたい。男声合唱が絶滅危惧種と言われないためにも・・・・・。
     横山岩雄

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